透明人間問題
「あ!あそこに人影が!」
「え?どこに?」
「ほら。あそこです」
「何が?」
「透明人間がいるじゃないですか?」
「わたしには見えませんが」
これは二人の会話。三人の会話に拡張してみよう。三人のうち二人は共謀している詐欺グループである。もう一人は、それを知らない善意の人である。
透明人間は見えない。しかし、透明人間がいる、ということはできる。ここで透明人間を悪霊に置き換えてみる。詐欺グループは、善意の人に、悪霊が憑依していると言い張る。つまり、いないものがいると説得する。詐欺グループは、不安心理に託(かこつ)けて、悪霊を追い払うのに手数料が必要だと主張する。悪霊を追い払う仕事の前と後では、なにも変わっていないが、悪霊はいなくなったから「もう大丈夫ですよ」といって手数料をとる。
「いない」ものを「いるもの」とすることができる。これを透明人間問題と呼ぶことにしよう。
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