方法序説「中間者」

権威を権威と決めつけない。その反面、権威なきものに権威の可能性を発見したいと思う。権威は参考にするに留まり、それに依存しすぎないようにする。これから沢山の権威となる挑戦者がでるだろうが、ここに注目したい。それに、たとえ稚拙であろうとも、独自で創ることに主眼をおきたい。権威の手下、すなわちその分野の研究者は尊敬こそすれ真似したくない。権威にぶらさがる小判鮫は御免被る。未成熟であっても独力でなにかを築くほうがいい。けれども、アイデアはどこにも溢れているのも事実。他人のアイデアを束ねるだけでも結構な仕事になるだろう。つまり、上にも下にも注意を払い価値を見抜きたい。下のほうに多くのアイデアがあるに違いない。下とは権威になっていないもののことだ。独力とはいっても、ぜんぶひとりでやろうとは少しも思わないし、それでは非効率である。中間の立場をとり、そこに微々たる知力を働かせ統合するように働きかけるようにしよう。世間には賢い人がいるのに、なぜか放ったらかしになっているので、そのような芽が、どこにどのようにしてあるのか調べよう。中間の存在として生きるというアイデアは、時間を節約することにも繋がる。主人公は私ではなく、私を取り巻く眠れる叡智にある。主人公としてではなく、中間者として生きる発想だけが、唯一私のアイデアであり、意味するところは一歩下がって、言うならば後ろに構えながら全体を俯瞰する。そして、ひとりであることをやめ、ひとりを全体と同化させるのである。最初に独力で、と書いてしまったが、全体的な把握を独力でやると言ったのである。また僭越にもアイデアと言ったが、ある人にとっては、もう既に常識となっているものであった。そこにようやく到達しただけと付け加えておく。

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