逆のすすめ

自分の考えが、よく理解されありふれたものと一致するようなら、間違っていると看做したい。というのは、ありふれた考えは大概正確ではないし、正しい理解をする者は、いつでも少数派であるに違いないからだ。心理においても同様であって、大勢と同じ心理状態のときは一層慎重になって自分を省みる。考えと心理は、大勢のそれと逆である場合に正しいことが多い。ただし意味があり根拠のある逆であることが条件になる。もし考えた結果がすぐに受け入れられるようなものなら、それほど価値はないと思うし、心理にしても同じような心理状態が世の中を支配しているとしたら、その心理はよくない兆候とみるべきだ。価値あるものは稀少であるに違いなく、正しさについても同様である。ありふれたものは、その時は正しいように思われるが、時を経ると間違いであったことに気づかされる。

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