知恵の及ばない、自分の力で計ることができないところのものが、そこに何かある。何かあるけれどもその計らい得ざるところのものが、まったくそのものと離れたものでなくして、自分の中にある。中にあるけれども、はっきりとそれが言えないで、自分を超越している。自分と離れておって、そして離れていないものである。自分であって、そして自分でないものである。こう言っていいと思う。わからぬからわからぬと言うのではない、知不到のところまで行って、わかるべきところを、知的でわかるべきところを尽くして、そしてもう足一歩も外に出せないというところに、一つの展開がある。そしてそこにわからぬといったものがわかるのである。自分と離れているというものは、離れていなかったということになる。
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