テーマと変奏

それを言うことによって、ほんとうは何を言いたいのかを探る。語られている言葉ではなく、そこに動いている心の状態をみる。原因になっている衝動をつかまえるのであって、その衝動によって動かされた態度や言葉を理解するのではない。表面ではなく、その奥に洞察のメスを入れる。そうすれば、態度と言葉の多様に見えていたものが、ひとつの表現の幾つもの変奏であることがわかる。人にはその人のテーマがある。この個々のテーマの変奏がその人の全体を表す。変奏された曲を聴くよりもテーマのほうに重心をおくようにする。あるいは常にテーマを意識しながら変奏を聴く。変奏曲はひとつのテーマの変奏であるから。

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